流れてゆく蔓に、たおやかな花の房・・
藤の柄は、帯や着物に染める時に思い切ったアレンジの難しい花の一つです。

構図を変えるてしまうと「藤」らしさが
感じられなくなりますので敢えて、藤の色味を使わずに
藍の濃淡のみにて藤の帯をお染めしてみました。

「藤」の花や葉の色がない分、花としての本来の印象が
逆にしっかりと感じられる帯に染め上がった事と思います。

奥行きを表現するために手前の花の房は濃いめの色を挿し、
奧の房になるほどに少し淡目な色挿しに・・

一本の房の中の、一つ一つの花にも
微妙なグラデーションがそれぞれに挿されております。

さらに、主題の房の花には銀の括りをほどこし
シンプルな藍濃淡の色遣いの中にも広がる春の情景を感じて頂ける事と思います。

細い蔓の先端までも繊細な糸目と、丁寧な友禅で染められた帯です。

前帯の柄には、お太鼓と同じように聖地に染められた藤がひと房。

藤の花の色を使ったり・・
葉のイメージで淡緑色を添えたり・・
小物も藍系で揃えたり・・

合わせる帯締めの色によってその着姿もかわります。
折々の，お出かけの機会に合わせてコーディネイトをお楽しみ下さい。

反対側の前帯には、軽めな藤の花をひと房・・

柄が小付けな分染めの繊細さがより際立ち、
帯締めで添えるひと色もより引き立ってまいります事と思います。

生地は、しっかりとした地風の白地の塩瀬地です。
良質の帯地ですので色を染めない白のままでも
しっかりと模様を受け止めてくれて
色遣いに統一感のある分、合わせるお着物も選びません。

織りの着物、お召し、
江戸小紋、染め小紋・・
春の季節のお出かけを堪能して下さいませ。