夏から秋への、季節の合間

夏帯ではなく、でも秋の帯ではまだ早く・・
そんな九月にお締め頂く「曼珠沙華」の染帯です

「曼珠沙華」は
おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる・・・という仏教の経典から
天界に咲く花という意味をもつ花です

一足早い秋を感じる、九月の季節感をお楽しみ下さい

 

ベースの地色は、柔らかな浅緋（うすきひ）の色

淡くグリーンで暈かした背景に
曼珠沙華の、白い華と、赤い華が、浮かびます

色挿しの微妙な濃淡が、細やかな花弁にも
奥行きのある立体感を映します


 

たおやかな華から伸びる蕊（しべ）
ゆらゆらと風に揺れる様子も伝わってくることと思います

細い糸目と、繊細な友禅
さりげなくとも、趣き豊かな染帯は 季節のお出かけを、いっそう楽しみにしてくれます

ひと色抑えた地色は、お着物の色目も選ばず 　
小紋、江戸小紋、お召し、紬・・・
お取り合わせをお楽しみ下さい

繊細ながらも、お太鼓に伸びやかに広がる構図

お背中に、季節の景色を添えて装う・・

そんなお出かけをお楽しみ下さい

 

細い茎に、大振りの花弁

その、アンバランスながらも均整のとれた
優雅な花の表情も、上手に表現されております

お締めになって歩いていると
ユラユラと、花が本当に揺れているような・・

そんな帯姿をどうぞ



 

前帯には、赤い花と、白い華
帯の巻き方で、それぞれ違う雰囲気を
お楽しみ下さいませ
 

赤い花は、

まだ残る夏の日差しにも、　一足早い秋の風にも
華やかさを感じさせてくれます

お太鼓と同じ様に、細い茎に乗る、たおやかな花の表情をお楽しみ下さい

 

反対側には、白い曼珠沙華の花が

すっきりとした趣きの、季節のお洒落感が、お楽しみを頂けます

帯〆のひと色で遊ぶのもよし、　敢えて、白やクリーム色の、薄色の小物にて
秋涼の爽やかさを楽しむのも、また素敵です

 

白い花ながらも

その花弁、一枚一枚には、微妙な色挿しが施されて
しっかりとした存在感が浮かびます

背景の暈かしの色と合わせて、その浮かび上がる表情をお楽しみ下さい

 

一粒の小さな曼珠沙華の花・・
　
お仕立て上がると、お太鼓の裏に出てまいります

お太鼓の裏は、
ご自分ではご覧になれないのですが、お人からは結構目に入るものなのです

そんなところに、地色と同系色のさりげないワンポイントを、お添えしました

お出かけの折々、着物ならではの季節のお洒落を、お楽しみ下さいませ